九州歯科学会 会長 森本泰宏
九州歯科学会(以下本学会)は日本学術会議が認定する歯科の包括的な学術団体で、80年余の長い歴史と伝統があります。九州歯科学会雑誌は医学中央雑誌(医中誌Web)に掲載されており、これまで歯科医学に関する重要な研究を数多く掲載しています。このような歯学に貢献してきた栄えある学会の会長に清水博史前会長の後任として就任致しました。重責に身の引き締まる思いです。これまでの歴史と伝統を継承しながら、本学会がその機能を永続的に発揮できるよう学会運営を果たしていきたいと考えております。具体的には、本学会の存在価値を認識してもらい、そのプレゼンスを高めたいと考えております。並行して経営基盤を改善し、安定した学会運営ができるよう務めて参りたいと思っております。本学会の存在価値は多岐にわたりますがその中で重要なものは二つです。
一つは清水前会長が掲げて下さいました若手研究者の発表の場を提供することです。私が大学院生の時にも本学会で初めて学会発表というものを経験させて頂きました。緊張はしましたが全国規模の専門学会とは異なり、同輩や旧知の先生の前でしたので少しはリラックスできたことを覚えています。そして発表した内容を論文として九州歯科学会雑誌に掲載して頂きました。この様にアットホームな雰囲気の中で査読論文を掲載していくという流れは九州歯科学会でしか作り出すことはできません。従って、登竜門としての学会発表と投稿を経験できることが本学会の存在意義であると考えます。
もう一つは学際的研究のシーズを作り出し、歯科医学に貢献できる研究の第一歩を作り出すことです。本学会は九州歯科大学とともに歩み、育まれてきました。本学会雑誌には、九州歯科大学の教員による歯科医学を牽引する進歩的業績が数多く掲載されています。現在はそれらの業績を世界に向けて発信していくことが求められています。その第一歩は足元にある雑誌に発表することです。本学会雑誌は専門学会の雑誌とは異なって学際的な内容が掲載されています。これをシーズにして会員相互でのより深い研究が始まるきっかけを本雑誌が取り持てるのではないかと考えています。すなわち、本学会は学際的研究のシーズを発表する第一歩としての存在価値を示すことができると思っています。
一方で、経年的に会員数が減少しており、本学会は経営的に安定した運営が成されているとは言い難い側面があります。そこで、今後永続的に学会が機能していくように財政基盤を作り出すことを考えたいと思っております。具体的には会員数と収入を可能な限り増加させます。歯科医院をご開業されておられる先生にも興味を抱き出席下さる学会を開催し、学会雑誌を発行したいと考えております。また、臨床や基礎研究のセミナーなども企画できればと考えております。そうすることで九州歯科学会の存在価値が未来永劫に繋がっていくように努力したいと考えております。
これらを実践していくには会員の皆さんのご協力が最も重要です。私にできることはより活発な学会になるよう会員の一人として皆さんを一つにして努力させて頂くことです。存在価値の高い学会活動が未来に繋がっていきますよう、会員各位のご支援ご協力の程を切にお願い申し上げます。
(令和3年 6月23日)